蛇にまつわる伝説

石巻神社は奈良の大神神社から勧請したようです。奈良の三輪山の大物主は蛇だという事であり、石巻山の周囲には、蛇にまつわる伝説が多くあります。
 谷川謙一著「青銅の神の足跡」によれば、『蛇神はそのまま雷神としてみなされている。』また『雷=鍛冶にかかわりをもつ・・・』との事です。
 物部氏は鍛冶氏族であり、この豊橋にも物部氏が住んだようで、蛇にまつわる説話が多いのだと思います。

1)「嵩山に残る古い話」

豊橋市立石巻中学校による「弓張風土記」より

説話の概要は以下の通り
 『嵩山には蛇の話しが多い。月ケ谷のお寺の裏の岩と岩との間から水が流れている。そこに大蛇が住んでいた。大蛇が時々、女にばけて、近くの家に「にわとりのタマゴをうってください。」とタマゴをかいにきた。タマゴを買いおわるといなくなってしまい、大蛇がその女にばけたということである。』

 まず月ケ谷のお寺を訪ねました。奥様と思われる方が親切に対応してくれました。ここの地名「月ケ谷」は、「わちがや」というのだそうです。2つの輪を重ねた図柄のお寺の紋に由来するとの事でした。事情を説明し、「お寺の裏の岩と岩との間から水が流れている」場所を確認しました。寺の裏にあまり心当たりの場所がないようで、寺の西にある神社横の、水の湧く岩を紹介して頂きました。
 確かに神社横に、水の湧く岩があり写真撮影してきました。しかし後で資料を確認すると、どうも違うようで再度の確認が必要です。まずは、神社横のものを資料としました。

2)「石巻山の大蛇」

豊橋市立石巻中学校による「弓張風土記」より

説話の概要は以下の通り
 『石巻山には神のお使いの大蛇が住むといわれております。不動さまの上の風穴に住んでいたこともあったようで、一名蛇穴と云われます。大変太くて白い蛇だと云われますが、人畜には危害を加えないと云いまる。太さは天びん棒より太かったとか、飯びつ程あったとかさまざまのようです。』

3)石巻山蛇穴

 昔この地の村人が、雨乞いのために石巻山に登ったところ、大きな白蛇が現れて社を造るように告げました。村人がお告げの通りに祠を造ると、岩の間からこんこんと霊水が湧き出し、村の人々は日照りから救われました。この穴はその大蛇が住んでいたと伝えられているものです。

 写真は、上の左側が「石巻山蛇穴」、右側が、神の使いの白蛇から授かり、いまだかつて枯れたことのないという「このしろ池」です。下の左側は、説話の中で「不動さまの上の蛇穴」とある不動堂(奥の院)です。

 右側は石巻山山頂近くにある「石巻山城址」です。この城址は、南北朝時代に南朝に属した高井主善正の城があったということです。
 石巻山は大変親しまれている山で、訪れた日には、毎週来ているというお譲さんや、「山頂へはこの道を行けばいいの?」と尋ねられた、おかあさんと娘さん風の二人連れ、石巻神社上社の階段下には、スポーツウエアに身を包み地面に腰をおろし、ペットボトルの水を飲む、いかにも走って登ってきた風な男性に会いました。

文字ボタンで参照された場合、ブラウザの✖をクリックして戻れます。